Ice Scopeの数値を調べてみた





物理の問題ですよ

物体の放物運動において高さ(h)の場合の滞空時間(t)を求めよ
ただし、重力加速度(g)を9.80665m/s²とし、空気抵抗は無いものとする

 t=2√2h/g


この公式を利用して
Ice Scopeで出てた高さの数値を調べてみた


何を使ったか
PanasonicのDMR-GRG2030のレコーダーのHDDに
DRで録画したBSフジの全日本ジュニア2018

このレコーダーはコマ送りができる。1秒で60コマ。
これを利用した方法。


まず、ice scopeの高さの数値から空気抵抗を考えない場合の滞空時間を計算で出す。
滞空時間からレコーダーでは滞空中のコマ数はいくつになるか計算する。
着氷していると判断したコマから計算で出たコマ数を小数点以下で切り上げた数字で巻き戻したらどの部分になるかを見る。
巻き戻して出たコマを0として前後3つのコマと合わせてgifにした。
gifにする方法はテレビ画面を1コマずつ撮影して画像をつなぐという…かなり雑な方法。

計算はエクセルを使用。
重力加速度は9.80665m/s²とした。

ちなみに時間の計算式はエクセルだとこうなる
t=2*2^(1/2)*h^(1/2)*1/9.80665^(1/2)
コマ数=t*60
Screenshot_20181205-203406.jpg

注意すべきなのはレコーダーで着氷していると判断したコマがIce scopeで着氷したと判断した瞬間とイコールではないということ。
Ice scopeで着氷したと判断された瞬間はレコーダーで着氷したと判断したコマとその前のコマの間という可能性がある。

ここで、計算で出た予想コマ数を小数点以下で切り上げた数字で巻き戻したらどうなるか考える。

レコーダーで着氷していると判断したコマがIce scopeでの着氷と判断した瞬間のとイコールだった場合、例えば予想コマ数が9.01から10は全て10で巻き戻すため、Ice scopeが起点と判断した瞬間はgifでの0のコマか0と1のコマの間となる。

Ice scopeで着氷したと判断された瞬間はレコーダーで着氷したと判断したコマとその前のコマの間だった場合は、間にどれだけズレがあるかと予想コマ数にもよるがIce scopeが起点と判断した瞬間はgifでの0と0よりも1つ前のコマの間から0と1のコマの間の範囲となる。


つまり、計算で出た予想コマ数を小数点以下で切り上げた数字で巻き戻したら、Ice scopeが起点と判断した瞬間はgifでの0よりも1つ前のコマと0の間から0と1のコマの間のどこかとなる。




川畑選手の3Lz
着氷から41コマ巻き戻して前後3コマも合わせてgifにしてみた
videotogif_2018.12.02_02.58.42.gif
だいたい合ってる気がするけど、どうだろう?


住吉選手の2A
着氷から30コマ巻き戻して前後3コマも合わせてgifにしてみた
videotogif_2018.12.02_10.39.44.gif
まあまあ合ってる?ちょっとIce scopeの起点が遅い気もするけど。
そもそも2Aの数値が出ているのにスロー映像は3Lzだったので、
2Aの数値なのかも疑問なんだけど



松生選手
着氷から30コマ巻き戻して前後3コマも合わせてgifにしてみた
videotogif_2018.12.03_11.16.30.gif
これも、まあまあ合ってるかな?


渡辺選手
着氷から33コマ巻き戻して前後3コマも合わせてgifにしてみた
videotogif_2018.12.03_11.49.52.gif
だいたい合ってる気がするけど、どうだろう?
このように短く切り取ってしまうと、この踏み切り方はフリップに見えませんね
でも松生選手のループよりも起点が前の方に判定されて見えるのはなぜでしょう?


岩野選手
着氷から26コマ巻き戻して前後3コマも合わせてgifにしてみた
videotogif_2018.12.03_12.43.15.gif
0だと空中。3つ前のコマでも既に空中。
つまり、このコマ数を数える方法と比較すると高さは小さい数値が出ていたということ。


横井選手 
着氷から36コマ巻き戻して前後3コマも合わせてgifにしてみた
videotogif_2018.12.03_12.53.29.gif
だいたい合ってる気がするけど、どうだろうね?



Ice Scopeの6つの数値で岩野選手の2Aだけ明らかに計算上の数値と合っていない。

そもそも物理の放物運動は物体の質量が重心に集まっていると仮定し、
その重心の運動を見るもの。身体の先端がどうなっていようと数値には関係ない。

Ice scopeの測定方法は分からないが、例えば空中で最も下にある部分から高さを出すのなら、身体は同じ高さであっても空中姿勢によって出てくる数値は変わるかもしれない。
Screenshot_20181205-224909.jpg
映像でも足先から点が出てる感じがするし。

極端な話、同じ選手が同じ高さまで身体が上がったとしても、足をキレイに揃えて回ったときとパンクして両足曲げたときではパンクしたときの方が数値は大きくなるのかもしれない。

……と言うのも、岩野選手がジャンプ中で最も高い位置にいるように見えるときに
踵側が下がっているように見えるので、それが原因かなぁ……と。




極端な話の例もおいとこう
どっちが高く見えるかな?
videotogif_2018.12.06_19.11.01.gifcapture_gif_2018.12.06_16.42.33.png
videotogif_2018.12.06_19.11.57.gifcapture_gif_2018.12.06_16.42.50.png

コマ数を数えて滞空時間を出すと上の方が少し高そうなんだけど、
下は空中で足を曲げてるので、最も下にある部分から高さを出すのなら下の方が大きい数値になるんじゃないかと。




結論としては、たった6つの数値を見ただけでも『?』な数値が存在している
Ice scopeの数値は鵜呑みにしない方がいいかもしれない






おまけ


岩野選手の2Aの全体をレコーダーのコマ送り画像でgifにしてみた
videotogif_2018.12.04_13.36.42.gif
さて、コマ数を数える方法ではこのジャンプの高さはどれぐらいになるだろうか?
この方法では大雑把にしか数値が出ないけど、
換算表はおいとくから自分で出してみてね
Screenshot_20181205-205557.jpg

……ちなみにですが………
伊藤みどりさんの1988年NHK杯の3Aのコマ数を自分が数えたら47なのです